本日は私が愛してやまないマーブルエボナイトを使用した万年筆について語る。
そもそもエボナイトとは?
エボナイトは生ゴムに硫黄を混ぜて長時間加熱し、硬化させた素材だ。現在はプラスチック樹脂の誕生によりそれが主流になっているが、かつてはエボナイトが使われていた。
・エボナイト素材を軸に使った万年筆
笑暮屋(えぼや)から出ているマーブル模様のエボナイト素材を使った万年筆だ。このモデルは鏡花という物で、色は深海にカスタムオーダーしたものだ。サイズはMサイズで大きさがちょうど良く、手の収まりがいい。キャップの中を嗅ぐと、ゴムから作られているだけあって少しゴムの香りがする。
実物は名の通り深い深海のような青色をしているが、自然光のもと写真を撮ると鮮やかに見える。逆に室内ではほとんど黒く見える。深海は特に環境によって色の見え方が違う。
・笑暮屋との出会い
笑暮屋を初めて見たのは台東区で開かれたTIPS(東京インターナショナルペンショー)だ。当時私はそのイベントのボランティアとして参加していた。会場を巡回中にマーブル模様の美しい軸を売る出店ブースを見つけ、吸い寄せられるように見に行ってしまった。
複雑に描かれたマーブル模様に、鮮やかすぎないシックな色合いが気に入り、ついつい仕事を忘れてしまうほど食い入るように眺めていた。まさに一目惚れだった。私の好みにどストライクな軸だったのだ。
・実際に手に取ると…
手にとってみると意外にも軽く、取り回しがいい。触り心地もスベスベしていてプラスチック樹脂の軸とは違う感触。どこかしっとりと心地がいい触り心地が気に入り、クオリティの高さに感激し、これは買わない理由がないなと思い購入を決意した。
その時、あまりお金は持っていなかったので、試し書きと実物の色を確認だけして、オンラインで注文した。
当時納期は4ヶ月(今は6ヶ月)待ちであった。
社長さんと話す機会があったので、鏡花を購入したことを話すと、社長さん曰く、「一本一本全て職人の手作りで、鏡花の精密なローレット部分やツヤツヤに磨かれた軸には職人の魂がこもっている。大事にしてくれよ」と言われ、さらに期待が膨らんだ。長い納期の間、ワクワク感を抱きながら鏡花が来るのを待っていた。
・ニブについて
ニブは中細にした。
ニブはBock社製のもので、外国製にしては日本製のニブに似ており、細い文字が書け、トメハネハライがしやすかった。(通常、外国製のはアルファベットを書くのに特化し、日本製のニブよりペンポイントが大きめで、丸っこい文字になる傾向がある)
しなりは少なめでコシが強く、どちらかというとプラチナ万年筆(3776センチュリー)のような書き味だ。筆圧が強い人でも書けるようにバランスはとれていると思う。
・一本一本が違う模様
エボナイト軸は全く同じ模様は製造できない。一本一本が微妙に違う模様をしているのだ。どんな子に出会えるのかその日までのお楽しみ。世界に一本しかないという特別感、そして機械ではなく、人が心を込めて作っているというのもロマンがあって良い。
そんなこんなで、エボナイトの魅力にハマった私は気づかないうちに2本目も買っていた。限定軸の「宇宙旅行」というモデルだ。これはまた別で記事にしようかと思う。
さらに、今はもう1本カスタムオーダーをしていて、届くと3本目になる。多分4本目も欲しくなる。相当気に入ってしまったようだ…。着々とエボナイト中毒者への道を歩んでいる気がする。
エボナイトフリークスへの道のりはまだ続く…。